競馬ファンのほとんどの人は出馬表を見て予想をするとき、前5走の詳細が書かれた馬柱から着順・着差・走破タイム・上がり3Fタイムなどを見て検討することだろう。しかし私がまず最初に見るところ・重要視しているところは、賞金・騎手・調教師・馬主・生産者である。例えば、賞金からヤリ・ヤラズを判断するのは条件戦が主になる。条件戦といっても着拾いではカイバ代も出ない下級条件ではなく、1000万下〜1600万下条件戦から狙いをつけるのである。かつては旧900万下条件戦が中心だったが、1600万下やOP特別のレース数増加によってその傾向が変化してきているようだ。「ここを勝ってもなお同条件」「格上挑戦でOP特別を勝っても1600万下に出走できる」「ここを勝っても次の開催で走れる条件のレースがあるのか?」など、クラス替えの時期も合わせて「賞金」によるヤリ・ヤラズはある程度見えるものなのだ。
あなたが馬主になったつもりで想像してみてほしい。あなたの所有馬はもう6歳、G1ロードを歩むなど、種牡馬への道も閉ざされ年齢的にも下降気味、上のクラスでは着も拾えないが、現クラスでは掲示板の常連、それでもあなたは現クラスを勝たせたいと思うだろうか?更に上を目指すつもりだろうか?種牡馬としての道を閉ざされた馬にとって最大の関心は獲得賞金である。それは厩舎や馬主にとっても同じ事だ調教師が馬主にとってのファンドマネージャーである事は決して忘れてはいけない事実。クラス常連でなかなか勝てない人気馬というのは、実は意識的に着拾いをしているのだ。
またそれとは逆に上でやっていけそうもない高齢馬が突然勝って昇級してしまうときは、いわゆる商品の入れ替え時期にあたり、稼いでくれそうな新しい馬が入厩できそうな時など、調教師の現馬主への引退勧告の布石かもしれない。どちらにせよ騎手・調教師にとって高齢の下級条件馬など稼ぎの少ない馬は、走らせる側から考えても何のメリットもなく、ならば馬房を空けて新しい馬を入厩させ資金を回していくことは、調教師としての当然の義務であろう。
また騎手・調教師は所属による師匠・弟子というタテの関係、養子縁組などによる血縁関係が錯綜しており、閉ざされた世界のため非常に難解な人間関係が形成されていく。函館大経、高橋孔照、林義和、山島久光、矢倉玉造、大野市太郎、小柴辰之助、鈴木甚吉など、これら日本における競馬界の原点といわれる人物を中心に、今もなお活躍躍している騎手・調教師は例外なくどこかのラインに属している以下に例を挙げてラインを遡っていこう。
武豊⇒武田作十郎⇒美馬信次⇒尾形藤吉⇒菅野小次郎⇒飯田藤作⇒山島久光
岡部幸雄⇒鈴木清⇒鈴木新太郎⇒柴田安冶⇒林義和
松永幹夫⇒山本正司⇒武田文吾⇒鈴木甚吉
藤田伸二⇒境直行⇒清田十一⇒伊藤藤吉⇒小柴辰之助
横山典弘⇒石栗龍彦⇒矢倉玉男⇒矢倉玉造
これら大系図のラインにはそれぞれ代表とされるエース的厩舎・騎手が存在してい
る。しかしその一方で、サクラと縁切りし社台をバックにつけた小島太、同じく社台をバックにしがらみから開放された松田国、戸山一門の兄弟子である小谷内・小島貞に見切りをつけ裏切り者扱いを受けた森秀行など、近未来に訪れると思われる開放された「うまや社会」に向けて、ラインを軸としない、すなわちドロドロした人間関係にはとらわれず純粋に強い馬作りを目指す厩舎も存在する事は確かである。しかしそこには「社台」というバックボーンだけではなく、西川氏(冠名、カフェ)・渡辺氏(同、アグネス)・金子氏という大物馬主の存在があることも忘れてはならない。
勝ち馬は必ず大資本に繋がると書いた前号だが、G1など大きなレースになればなる程それは顕著となる。皐月賞馬ノーリーズン、ダービー馬タニノギムレット、桜花賞馬アローキャリー、オークス馬スマイルトゥモローなど、馬主の中でもステイタスの高いすなわち大資本をバックにしたオーナーブリーダーが今春のクラッシックを席巻した。強い馬作りには最新技術をもった人材、最新の施設、最新機器のなど金のかかる事ばかり。景気が悪く馬が売れない時代、また地方競馬の不振も低迷する馬産地に追い打ちを掛ける。そこへ持ってきて主催者JRAの外国産馬開放路線真っ只中とくれば、資本力のない弱小牧場は淘汰される今の時代。所有権が移っても支払われる生産者賞、売れない馬を買い上げる抽選馬など矛盾する「生産者保護」を唱えてきたJRAも時代の流れには逆らえないところにもう既に来ているのである。
「大資本オーナーブリーダーVS社台系列」これが私の考える今秋のG1シリーズのキー ワードである。
勝ち馬は必ず大資本に支えられた馬である事は間違いない。思い出して欲しい。社台はSS産駒でダービー3連覇をやった後、早急に引っ込めたアドマイヤベガを始め、すでにクラシック勝ちの肩書きが付いたエアシャカール、アグネスフライト、後に香港でG1勝ちを収めるステイゴールドあたりを、「持ちつ持たれつ」の法則によってオペラオーの神輿担ぎに動員した。しかし、それこそタダでは転ばない社台のシビアなマネージメントであった。作られた最強馬テイエムオペラオーに世代交代の牙で喰らい付いたのは、紛れもなくアグネスデジタル・ジャングルポケット・マンハッタンカフェなど社台系だったのだから。
その昨秋と、古馬戦線(=社台系)とクラッシック(=オーナーブリーダー)をそれぞれ分け合った今春とを繋げて考えると、それぞれが相まみえる秋のG1シリーズにおいてこの対決図式は必然である。しかし種牡馬ビジネスで成り立っている社台にとってオーナーブリーダーを含めた生産者達はいわゆるお客さんであり、ここでも「持ちつ持たれつ」の構図が存在することは確かである。どのレースでどの馬が勝てば誰にどういうメリットがあるのか?走らせる側に立って考えるとはこういうことであり、G1のような大一番では、クラブ馬や社台をバックボーンに持たない馬には間違っても◎を打ってはいけない。あなたがこの 秋注目している馬のバックボーンは大丈夫?
あなたが馬主になったつもりで想像してみてほしい。あなたの所有馬はもう6歳、G1ロードを歩むなど、種牡馬への道も閉ざされ年齢的にも下降気味、上のクラスでは着も拾えないが、現クラスでは掲示板の常連、それでもあなたは現クラスを勝たせたいと思うだろうか?更に上を目指すつもりだろうか?種牡馬としての道を閉ざされた馬にとって最大の関心は獲得賞金である。それは厩舎や馬主にとっても同じ事だ調教師が馬主にとってのファンドマネージャーである事は決して忘れてはいけない事実。クラス常連でなかなか勝てない人気馬というのは、実は意識的に着拾いをしているのだ。
またそれとは逆に上でやっていけそうもない高齢馬が突然勝って昇級してしまうときは、いわゆる商品の入れ替え時期にあたり、稼いでくれそうな新しい馬が入厩できそうな時など、調教師の現馬主への引退勧告の布石かもしれない。どちらにせよ騎手・調教師にとって高齢の下級条件馬など稼ぎの少ない馬は、走らせる側から考えても何のメリットもなく、ならば馬房を空けて新しい馬を入厩させ資金を回していくことは、調教師としての当然の義務であろう。
また騎手・調教師は所属による師匠・弟子というタテの関係、養子縁組などによる血縁関係が錯綜しており、閉ざされた世界のため非常に難解な人間関係が形成されていく。函館大経、高橋孔照、林義和、山島久光、矢倉玉造、大野市太郎、小柴辰之助、鈴木甚吉など、これら日本における競馬界の原点といわれる人物を中心に、今もなお活躍躍している騎手・調教師は例外なくどこかのラインに属している以下に例を挙げてラインを遡っていこう。
武豊⇒武田作十郎⇒美馬信次⇒尾形藤吉⇒菅野小次郎⇒飯田藤作⇒山島久光
岡部幸雄⇒鈴木清⇒鈴木新太郎⇒柴田安冶⇒林義和
松永幹夫⇒山本正司⇒武田文吾⇒鈴木甚吉
藤田伸二⇒境直行⇒清田十一⇒伊藤藤吉⇒小柴辰之助
横山典弘⇒石栗龍彦⇒矢倉玉男⇒矢倉玉造
これら大系図のラインにはそれぞれ代表とされるエース的厩舎・騎手が存在してい
る。しかしその一方で、サクラと縁切りし社台をバックにつけた小島太、同じく社台をバックにしがらみから開放された松田国、戸山一門の兄弟子である小谷内・小島貞に見切りをつけ裏切り者扱いを受けた森秀行など、近未来に訪れると思われる開放された「うまや社会」に向けて、ラインを軸としない、すなわちドロドロした人間関係にはとらわれず純粋に強い馬作りを目指す厩舎も存在する事は確かである。しかしそこには「社台」というバックボーンだけではなく、西川氏(冠名、カフェ)・渡辺氏(同、アグネス)・金子氏という大物馬主の存在があることも忘れてはならない。
勝ち馬は必ず大資本に繋がると書いた前号だが、G1など大きなレースになればなる程それは顕著となる。皐月賞馬ノーリーズン、ダービー馬タニノギムレット、桜花賞馬アローキャリー、オークス馬スマイルトゥモローなど、馬主の中でもステイタスの高いすなわち大資本をバックにしたオーナーブリーダーが今春のクラッシックを席巻した。強い馬作りには最新技術をもった人材、最新の施設、最新機器のなど金のかかる事ばかり。景気が悪く馬が売れない時代、また地方競馬の不振も低迷する馬産地に追い打ちを掛ける。そこへ持ってきて主催者JRAの外国産馬開放路線真っ只中とくれば、資本力のない弱小牧場は淘汰される今の時代。所有権が移っても支払われる生産者賞、売れない馬を買い上げる抽選馬など矛盾する「生産者保護」を唱えてきたJRAも時代の流れには逆らえないところにもう既に来ているのである。
「大資本オーナーブリーダーVS社台系列」これが私の考える今秋のG1シリーズのキー ワードである。
勝ち馬は必ず大資本に支えられた馬である事は間違いない。思い出して欲しい。社台はSS産駒でダービー3連覇をやった後、早急に引っ込めたアドマイヤベガを始め、すでにクラシック勝ちの肩書きが付いたエアシャカール、アグネスフライト、後に香港でG1勝ちを収めるステイゴールドあたりを、「持ちつ持たれつ」の法則によってオペラオーの神輿担ぎに動員した。しかし、それこそタダでは転ばない社台のシビアなマネージメントであった。作られた最強馬テイエムオペラオーに世代交代の牙で喰らい付いたのは、紛れもなくアグネスデジタル・ジャングルポケット・マンハッタンカフェなど社台系だったのだから。
その昨秋と、古馬戦線(=社台系)とクラッシック(=オーナーブリーダー)をそれぞれ分け合った今春とを繋げて考えると、それぞれが相まみえる秋のG1シリーズにおいてこの対決図式は必然である。しかし種牡馬ビジネスで成り立っている社台にとってオーナーブリーダーを含めた生産者達はいわゆるお客さんであり、ここでも「持ちつ持たれつ」の構図が存在することは確かである。どのレースでどの馬が勝てば誰にどういうメリットがあるのか?走らせる側に立って考えるとはこういうことであり、G1のような大一番では、クラブ馬や社台をバックボーンに持たない馬には間違っても◎を打ってはいけない。あなたがこの 秋注目している馬のバックボーンは大丈夫?